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ダーウィンの日記1834年12月29日と30日 [ダーウィンの日記(II)]

ダーウィンの日記(チョノス諸島の南方; トレス・モンテス半島)

[日記仮訳]

(1834年12月)29日

海岸沿いに走り、Yuche島[注] に投錨した。トレス・モンテスの半島のやや北である。
[注] フィッツロイ艦長の書いたものでは Ynchemo島とかInchemo島、またはInche島といろいろな表記がなされています。現行の名前は インチェモ(Inchemo)島 となっているもよう。下の地図1参照。衛星写真に小島が見えます。

30日

朝、岸に行った。おおいに驚いたのだが、この島には立派な野生化したヤギが沢山いた。狩りする者たちはやがて8頭をしとめ、それらは2日間にわたり私たちに新鮮な肉を与えてくれた。 思うに、これらのヤギはもともとはかつてのスペインの伝導活動の者たちに置き去りにされたのに違いない。私ら以外の者たちがこの場を訪れたわけだ。ずいぶん昔に切り倒された木の跡と、古い焚き火、そして小屋の遺物を見つけた。 推理するに、それはアザラシ猟にうろついた一族のものであったろう。

夕刻、投錨地をちょっと高い丘のふもとの心地よい入り江に移した[注]
[注] 地図2参照。

[地図1] 1834年12月29日と30日の停泊地 (インチェモ島)..

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[地図2] 1834年12月31日から翌年1月5日までの停泊地(実際の停泊地は地図上の地点の近くの[おそらく東に寄った]入り江のほうだと思われます)..

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[天候]1834年12月30日正午の天候:
北西の風、風力2、全天曇り、雲、暗い、気温摂氏11.7度、水温摂氏12.2度。

[日記原文]
29th
Ran along the Coast till we came to an anchor at Yuche Island, a little to the North of the Peninsula of Tres Montes.

30th
In the morning went on shore; to our great surprise we found the Island well stocked with fine wild Goats. The sportsmen soon killed eight, which have given us two days fresh meat. I should think these Goats must originally have been turned out by some of the old Spanish Missionary expeditions. Others besides us have visited this place; I found marks of trees long ago cut down, an old fire, & remains of a sort of Shed. — I presume it has been one of the prowling tribe of Sealers. — In the evening changed our anchorage to a snug cove at the foot of some high hills.

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["ダーウィンの日記(II)"について]
ここで扱っているのはダーウィンがビーグル号で航海に出ている時期の日記です。訳文は私的な研究目的に供するだけの仮のものです。普通は全文を訳します。また、ダーウィンが日記を書いた当時の世界観を出来るだけそのままにして読む事を念頭に置きますので、若干の用語の注釈を除いては、現代的観点からの注釈は控え気味にしてあります。
[日記原典] Charles Darwin's Beagle Diary ed. by R.D.Keynes, Cambridge U.P., 1988.

ダーウィンの日記の1831年10月24日から1832年9月14日までの分はアーカイヴ的に"ダーウィンの日記(I)"として何日分かずつまとめて次のところにあります..
http://saltyfumi.blog.so-net.ne.jp/ (トップページ;すなわち1832年9月14日分)
http://saltyfumi.blog.so-net.ne.jp/1831--12-16_0 (日記の冒頭部;前書き)

バナーの画像はビーグル号の人たちの1835年の測量で作成されたガラパゴス諸島の海図の一部


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コメント 3

アマデウス

船乗りたちは昔から必要時の肉資源として、孤島などにヤギを放して利用してきたようですね。山羊のミルク、チーズなども利用したのでしょうね。
by アマデウス (2009-04-06 07:26) 

さとふみ

キャプテン・クックの航海誌を見ますと、ヒツジ、イヌ等も積んでいって何カ所かに繁殖用に置いたりしています。これは現代的観点からは生態系の面でどうかという問題がありますが、当時としては必要性もあり、また現地の人たちのためにもなるようにという善意の側面があったことは確かと言えるでしょう。
by さとふみ (2009-04-06 08:17) 

春分

当時の考えや行動を今の感覚で批判するのは当たらないでしょうけども。
ヤギやイヌと聞くと、ツケがまわってますね。親の借金は返さないとなぁ。
そしてこの年代にはアザラシ猟は広く南北両米大陸へと広がってるのですね。
by 春分 (2009-04-12 18:41) 

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