ダーウィンの日記1832年9月19日から21日 [ダーウィンの日記(II)]
ダーウィンの日記(バイア・ブランカ)
[日記仮訳]
(1832年9月)19日
砂の小丘を越えて平野まで歩き、標本にするために何羽かの小鳥を撃った。
ダチョウ、シカ、テンジクネズミ、等々は数が多いのであるが、それらがどのようにして水を得るのかは私たちにとっては完全な謎である。誰も最小の水たまりでも見た者は私たちのうちにはいない。(8フィート[2.4m]の深さの井戸を別としてであるが[注]。) そして彼等が水を飲まずに生存出来るとはほとんど信じられない。
[注]ビーグル号の水場とするために掘った井戸のことであろう。
この砂地の土地は夏季には完全な沙漠であろうと考えるべきである。今は春で、すべての花はつぼみの状態で太陽はとても力強くて遮蔽物はなく、熱は砂の小丘から照り返されている。
20日
船に留まっていた。
21日
午前中かなりの風があり、船を離れなかった。
[天候]
1832年9月19日正午の天候(ビーグル号):
北西の風、風力4、青空、雲、霧、気温摂氏19.4度、水温摂氏13.6度。
[地図]バイア・ブランカ
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[画像] 1) レア (Rhea americana)..
2) テンジクネズミ (Patagonian cavy, or mara (Dolichotis patagona); マーラ) ..
出典: 1)、2)ともに encyclopaedia britannica.
[日記原文]
19th
Walked to the plains beyond the sand hillock & shot some small birds for specimens. — It is a complete puzzle to all of us, how the Ostriches, Deer, Cavies, &c which are so very numerous, contrive to get water. Not one of us has seen the smallest puddle (excepting the well which is 8 feet deep) & it is scarcely credible that believe they can exist without drinking. I should think this sandy country in the summer time must be a complete desert; even now in spring & all the flowers in bud the sun is very powerful, there being no shelter & the heat being reflected from the sand hillocks.
20th
Staid on board: —
21st
In the morning there was a good deal of wind; so that I did not leave the ship. —
["ダーウィンの日記(II)"について]
ここで扱っているのはダーウィンがビーグル号で航海に出ている時期の日記の1832年9月15日以降の記事です。訳文は私的な研究目的に供するだけの仮のものです。普通は全文を訳します。
[日記原典] "Charles Darwin's Beagle Diary" ed. by R.D.Keynes, Cambridge U.P., 1988.
「それらがどのようにして水を得るのか」は、解明できたのでしょうか？興味深いです。
by SAKANAKANE (2008-08-31 17:50)
SAKANAKANEさん..
完全な答えではありませんが、この時期ダーウィンは海岸の砂丘地帯から奥の草原地帯へそれほど遠くはまだ行っていないんですね。 この辺を含んだ内陸旅行はダーウィンの日記ではこのあと1年ほど後のことになります。
by さとふみ (2008-08-31 22:07)
ダチョウ＝レアの写真、わかりやすくありがたい。
テンジクネズミの写真も驚きでした。普通のモルモットをイメージしていたので。
なんとも野生的な。
by 春分 (2008-09-13 11:51)